第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「桜さんに関しては、僕も譲れません」
強い視線で赤司を見据える黒子。
「おもしろい」
「黒子君…」
傍らで黙っていた桜が言葉を漏らす。
「決勝が終わったら桜を京都へ連れて行く。当然、優勝してね」
桜はうつむき、黒子は驚きの表情を見せる。
「やだ…京都なんて、行かない…」
桜は再び座り込む。
黒子は桜に視線を落とすが、再び赤司を見据える。
「だったら…だったら僕が勝ちます」
黒子の言葉を黙って見据える赤司。
「勝って…緑間君のところに送り届けます」
優しい視線を桜に向ける黒子。
「黒子、君…」
黒子の力強い瞳に、桜はどこか安堵の表情を浮かべる。
それを見て薄く笑う赤司。
「それだけではなさそうだが、まぁいいだろう」
赤司は再び桜の手を取ると黒子に背を向ける。
転びそうになりながらも赤司に手を引かれる桜。
「テツヤ…僕に逆らったこと、後悔するといい」
言い残すと、黒子の前から姿を消す赤司と桜。
「絶対、勝ちます」
黒子は拳を握り締め呟いた。