第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
しばらくして繋がったが、思わぬ声の主に顔をしかめる緑間。
「…どこにいる。取りに行くのだよ」
険悪な雰囲気の緑間を不思議に思い、じっと見つめる桜。
そのまま通話を終了させると、携帯を握り締める緑間。
「よりによって、あいつが拾っているとはな…」
「…真太郎…?」
鋭い視線の緑間に、恐る恐る声をかける桜。
その声に我に返る緑間だが、張り詰めた空気を纏わせていた。
「…すまない」
「誰か、拾ってくれてた?」
「あぁ」
「私、行って来るから場所教えてくれる?」
あえて笑顔を見せる桜に薄く笑う緑間。
「俺も一緒に行くのだよ」
その笑顔は、すぐに険しい顔つきに変わってしまった。