第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
残り二十秒で一点差。
その時、密かに紫原に異変が起こった。
ボールを奪えず氷室から紫原にパスが回ってしまう。
火神が止めに入るが、今までにない力で押し負けそうになった時、木吉が助けに入る。
二人の力でシュートを止めたが、ありえない速さで紫原がディフェンスに戻っていた。
その人波はずれた力は、紫原がゾーンに入ったと確信出来た。
ゾーンの切れ掛かった火神と比べれば、力の差は歴然。
しかし、周りの声援で最後の力を振り絞る火神。
「俺たちは勝つ!みんなの思いを背負って決めるのがエースだ!」
ここに来て火神が新技をものにする。
流星のダンク、メテオジャムでゴールに叩き込む。
その名の通り逆転で試合終了、と思われたが、氷室が紫原にパスを出す。
しかし、今まで何度もブロックのため跳躍していた紫原の足に限界が来ていた。
ゴールを目の前にして飛べない紫原。
自身の違和感に躊躇している間に、黒子にボールを叩かれタイムリミット。
73対72で誠凜高校の勝ち。