第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて

「相原…よくあいつらと平気で話せるな…」
控え室に向かう途中、降旗に話しかけられる桜。
「え…？なんで？」
「俺、正直腰が抜けそうだったよ…」
青ざめた顔の降旗を見て、桜はため息をつく。
「何言ってるの！これから試合だってのに」
笑顔の桜に驚く降旗。
「倒すべき相手に、怖気づくな！」
降旗の背中をバシッと叩く桜。
「しっかり応援するから、勝って来い！」
力強い桜の言葉に、次第に笑顔を見せる降旗。
「…はい！」
「よし！」
笑い合う二人を見て、後ろを歩いていた黒子も薄く笑う。
「…桜さん、そういうのが気に入られる原因かと…」
黒子はそっと桜に耳打ちする。
「え…そんなつもりじゃ…」
「緑間君に、同情します…」
「また、怒られるのかな…」
桜は肩を落としながらも二人と別れ、観客席に向かった。