第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「恥ずかしいから下ろして…」
「黄瀬!桜に気安く触るな」
緑間は黄瀬から奪うように桜を抱き上げる。
「もう!物みたいに扱わないでよー」
小動物のように軽々と奪われ、頬を膨らめる桜。
「あー?そいつテツの女じゃなかったのかよ」
青峰が欠伸をしながら口を開く。
「なぜそういう話になるのだよ!」
「だってこの前、温泉宿で膝枕してたぜ?」
「ずるいッス桜っち!俺にもして欲しいッス!」
桜に抱きつこうと近づく黄瀬。
「黄瀬!いつも言っているが桜に近づくな!」
緑間は桜を抱きしめ黄瀬から距離を取る。
「青峰君、残念ながら違うと言ったじゃないですか」
「黒子!膝枕について説明するのだよ!」
平然としている黒子に、詰め寄る緑間。
「お風呂でのぼせたので」
「それでなぜ膝枕なのだよ」
腕の中の桜を睨みつける緑間。
「え、えーっと…枕、必要かなーって…」
桜は愛想笑いで誤魔化すと、腕からすり抜け黒子の背後に回る。