第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
そこに、一人の女の子が人波に押され赤司に向かい倒れこんだ。
幸い、肩が少し触れただけだが、赤司はその女の子を鋭い瞳で睨みつけた。
「ご、ごめんなさい…」
謝る女の子だが、赤司はそのまま立ち去ってしまった。
「ちょっと怖かった…って、黒子君探さなくちゃ!」
女の子は歩き出すと、階段の下にいた黒子を見つけ笑顔を見せた。
「黒子君!」
「桜さん?」
名前を呼ばれ顔を上げる黒子。
「って、真太郎?黄瀬君も?!」
桜はそばにいた緑間と黄瀬の姿に驚きの声を上げる。
「桜っちー!」
階段を下りる桜に満面の笑みで近寄ると、抱き上げてしまった。
「ちょ、ちょっと黄瀬君?!」
「黄瀬!何をしているのだよ!」
「桜っちは、俺の勝利の女神ッスよー」
軽々と持ち上げられ、笑顔を見せる黄瀬に頬を染める桜。