第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
「すべてに勝つ僕は、すべて正しい」
切り終えると、恐ろしいほどの眼光で火神を見据える。
「僕に逆らう奴は、親でも殺す」
殺意すら感じる言葉に、身構える火神。
しかし、赤司の性格を知ってか他の者は平然としていた。
「じゃあ行くよ…今日のところは挨拶だけだ」
赤司はハサミを緑間に返すと階段を上りだす。
「次は、戦う時に会おう…」
一同を見下ろし、立ち去る赤司。
「ったく、呼び出しておいて何なんだよ」
青峰が赤司を呼び止める。
「全員、あの時の誓いは忘れてないようだからね」
それは、帝光中学の卒業式の日。
キセキの世代とひとくくりにされていたことを全員が嫌悪していた。
自分より上がいるはずがない、それを証明するために自分以外を淘汰しなければ気がすまない。
理屈ではなく、本能として。
全員があえて別々の高校に進学し、いずれ優劣をつけようと誓ったあの日。
赤司はそう言い残すと背を向け控え室へと足を向けた。