第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
会場を出ると、階段の一角に四人の選手が集まっていた。
それぞれに違うジャージを着ているが、気安く話をしている。
「お待たせしました」
誠凜高校の黒子テツヤ、ポジション不明の陰の立役者。
「つーかなんで緑間っち、ハサミとか持ってるッスか?」
海常高校の黄瀬涼太、得点元のスモールフォワード。
「ラッキーアイテムに決まっているだろう」
秀徳高校の緑間真太郎、長距離からのシュートを得意とする得点元のシューティングガード。
「みどちん、そのハサミ貸してよ。お菓子の袋開けたいんだけどー」
陽泉高校の紫原敦、ゴールを守る強靭なセンター。
「つーか携帯うっせーよ黄瀬」
桐皇学園の青峰大輝、守備やリバウンドもこなすパワーフォワード。
かつては同じユニフォームを着て戦ったチームメイト。
中学生にして恐ろしいほどの能力を開花させた者たち。
ここにいる彼らこそが、キセキの世代。