第32章 雪をも解かす真冬の華よ、いつか僕に手折らせて
開会式を終え、第一試合を控えた黒子のもとに一通のメールが届いた。
携帯を開くと、表情を強張らせる黒子。
「すみません…ちょっと外してもいいですか?」
「だから、すぐふらふらどっか行くなって言ってんでしょ」
黒子の言葉に、笑顔で答えるもハリセンを握り締めるリコ。
「いや、その…呼び出しが…」
「呼び出し?」
リコに動揺する黒子に、木吉が問いかける。
「赤司君に、会ってきます」
その名前に一同がざわつく。
「キセキの世代の主将…」
伊月が険しい表情で呟く。
キセキの世代と呼ばれた、帝光中学バスケ部主将。
今まで戦ってきた強敵を束ねていた人物。
今回の大会で、対戦するであろう高校の主将でもある。
「わかったわ。午後の試合までには必ず戻ってきなさいよ」
「はい」
リコは許可を出し、黒子は会場の外に出た。