第31章 誠凜高校温泉物語
火神はため息をつくと黒子に声をかける。
「何か飲むか?」
「じゃあ、スポドリを」
火神は自販機を前にしたが売り切れで、別の場所に買いに姿を消した。
「…気分悪かったりしない?」
横たわる黒子に、そっと声をかける桜。
「はい、大丈夫です…」
冷やしたタオルを額と目元を隠すように乗せた黒子。
頬に触れると、熱を帯びたように火照っていた。
「桜さんの手、冷たくて気持ちいいです」
「そう…よかった」
桜は黒子を見下ろすと、薄く笑った。
そこに一人の男の子が現れ、黒子の傍らに飲み物を置いた。
「ほらよ」
「ありがとうございます」
何気なく礼を言いタオルを取った黒子は、その人物を見て思わず起き上がる。