第31章 誠凜高校温泉物語
不機嫌な顔のリコは、桜と共に浴場に向かった。
男湯の前を通りかかると、リコは足を止め何かを察知した。
「リコ先輩?」
不思議に思った桜が声をかけると、リコは躊躇いもせず中に入って行った。
「え?!男湯ですよ?!」
引きとめようとするも、桜は暖簾の前で足を止めた。
そして、しばらくするとよく響く音が聞こえて来た。
時折耳にする、紅葉の痕をつける音。
「何か、想像つくな…」
思わず桜が呟くと、火神に付き添われふらふらと出てきたのは黒子だった。
「黒子君?どうしたの?」
「のぼせたってよ」
簡潔に言う火神に、桜は黒子に手を貸す。
「大丈夫?少し横になろう」
そう言うと桜は、自らの膝を貸し黒子を休ませた。