第29章 笑顔の源
「真太郎?どうしたの?」
「…いや、大した用事ではないのだが、何かあったか?」
「えー?どうしたの急に。何もないよ」
緑間の言葉に、明るく振舞う桜。
「桜のことは、声を聞けば分かるのだよ」
「・・・・・」
その一言で、言葉を詰まらせる桜。
これ以上は誤魔化しても無駄だと、通話口で寂しげに笑う。
「…ごめん、ちょっとね…」
「そうか」
簡潔に答えるだけの緑間に、少し安心する桜。
「学校でのことだから、大丈夫だよ」
「桜なら、解決出来るのだよ」
「…ありがと」
緑間の優しい声に、重苦しかった気持ちがふわりと軽くなる感触がした桜。