第24章 叶わぬ夢を抱いて
「桜…」
「おーい、緑間ー!」
桜に手を伸ばそうとした瞬間、緑間に声をかける女の子がいた。
「さぼってないで接客してよー。忙しいんだからねー」
その声で我に戻った緑間は、小さくため息をつくと接客に戻って行った。
「真太郎…怒ってた…よね…勝手に来ちゃったから…」
「いやー…あの怒りはどっちかってーと、これのせいじゃね?」
高尾が視線で促した先は、微かに震える桜の手。
しかも高尾の服を摘まんでいた。
「ついでに言うとさっき、俺の手を取っていたのもあるな」
「ご、ごめん!」
慌てて服から手を離す桜。
「いや、俺はうれしいから良いけど、後がこえーな」
笑ってはいるが、顔が引きつる高尾。