第19章 記憶のカケラ
「ごめんね…ごめんなさい、緑間君…」
降りしきる雨の中、思いがかき消されないようにと桜は声を張り上げた。
「私、やっぱり緑間君が好き、大好きなの…!だから…」
「桜…?」
その言葉を聞き、緑間は一歩桜に近づいた。
「これからもずっと一緒にいたいの!誕生日も、テスト勉強も…また一緒にやりたい!」
少しうつむき言葉を発する桜に、無言で一歩ずつ近づく緑間。
「合宿で会った時から、ずっと大好き……だから…」
「桜…。もっと、分かりやすく言うのだよ…」
桜はゆっくりと視線を上げると、目の前には緑間の姿。
雨に紛れ、再び涙が込み上げる。