第19章 記憶のカケラ

「えぇ、本当です」
そう言って黒子は、持っていたタオルで桜の涙をそっと拭った。
「ありがとう…黒子君。行ってくるね…」
桜は、未だにあふれ出る涙を拭いながら、緑間の元へ向かった。


「…黒子、相原はどうしたんだ？」
木吉が不思議そうに問いかける。
「記憶を失っていたんですよ？…て、忘れてたんですか？」
「そ、そうだったのか？！」
「…相変らずですね、木吉先輩は」
黒子は呆れながらも、駆けていく桜の後ろ姿を笑顔で見送った。

「よかったですね、緑間君」