第19章 記憶のカケラ
「桜っち、思ったより元気そうッスね。よかった」
桜の笑顔を見て、黄瀬は安心したとばかりに頬杖をついて微笑んだ。
「黄瀬君…」
黄瀬の笑顔を見て、薄っすらと赤くなる桜。
「桜さん?」
「黄瀬君てかっこいいよね…ちょっと、ドキっとしちゃった」
照れ隠しに、グラスに手を伸ばす桜。
その言葉に、呆然とする黄瀬。
「桜さん、早く思い出してください。黄瀬君が調子に乗ります」
「え?」
黒子の言葉で、改めて黄瀬を見る桜。
「桜っちが…桜っちが…かっこいいって…桜っちー!」
「だから、いい加減にしてください!」
再び桜に抱きつこうとする黄瀬を、黒子は全力で止めにかかった。