第2章 初デート
「あ、当たり前なのだよ。桜は遅刻をするような奴ではないと分かっているのだから。
…何かあったのかと…」
少しだけ顔を赤くする緑間。
それでも、視線を反らすことはしないで桜を見つめていた。
以前の緑間なら、すぐにそっぽを向いてしまう所だろう。
「ありがとう。待たせてごめんね」
心配してくれた、大好きな恋人に笑顔を見せる桜。
「行くぞ。ここから水族館までは少し歩くのだよ」
照れ隠しなのか、緑間は桜の手を掴むと歩き出した。
人混みを縫うように、そして、桜を守るかのように先を歩く緑間。
強く握られた手と、緑間の後姿を見つめながら歩く桜だった。