第6章 私は食虫植物になりたい
思い出すのは...。
真っ赤に染まったベットと、その真ん中で倒れている透ちゃんの姿。
あわてて駆け寄った僕のかいも虚しく、すでにこと切れていた。
何がなんだかわからないままに、挙動不審にあたりを見渡せばベットの横に置かれた無機質なメモ用紙。
そこに書いてあったんだ。
〜このままじゃ好きすぎてトド松くんを、殺してしまう。
だから、さようなら
愛してる〜
僕は、その場に崩れ落ちた。
そして、透ちゃんの言っていた言葉の意味をその時初めてわかったんだ。
食虫植物になったら、僕を食べて、そしたら身体に溶けてずっとずっと一緒にいられるって...。
その真意をわかった途端、僕は包丁を握りしめた。
君がなれなかったものに僕はなるよ。
僕は、食虫植物になる。
だから、だからどうか...。
「ずっと、一緒にいよう...透ちゃん」
ずっと...。
ずっと....。
ーーハエトリソウ 魔性の愛ー
END