第4章 君が乞われてしまう前に
そんなショッキングな事があって翌日。
「透ちゃぁぁん!すっっげー、会いたかったァ!!!」
「はいはい、十四松くんは本当に甘えん坊さんだね」
彼女さんは今オレの目の前で十四松を甘やかす。
残酷な事をしてくれるよね、翌日に傷口に塩を塗りたくりにくるなんてさ?
「はい、一松くんはチョコだからミルクティね?」
また性懲りも無くオレの前にチョコケーキだからってミルクティを置く。
じとっとした目で見つめたら、今度は目をそらさずじっと見つめ返してくる。
「今日は違うよ、その組み合わせ、私も好きになったの」
食えない奴...。
「えー?!なになに!?なんの話!??!」
「ん?うん、内緒?」
にやりと笑って湯のみに入ったミルクティを飲む。
...まぁもう、いけるとこまでいけばいいよ。
壊れる前に助け舟の一つや二つ出すくらい、二人の為ならいいやなんて...。
結局オレもこの馬鹿な女とやることは似たり寄ったりで、どうしようもない。
ちりんと泣く季節外れの風鈴が、今日も耳に響いて悲しい気持ちを連れてくる。そうかと思えば温かい紅茶が温かい気持ちを連れくる。
冷ましたいのか、温めたいのかどっちつかずな想いに振りまわされて苦笑するしかない。
本当に、馬鹿な女...。
そんな馬鹿に惚れる馬鹿、そんな二人を好きな馬鹿。
この世にいるのは良い子だけとか歌ったヤツ誰だよ、なんて悪態をつきながら今日も馬鹿二人を見守る馬鹿野郎。
世の中みんな馬鹿ばっかし...。
〜~END~