第3章 疲れた時は、側にいて?
ピコンとスマホがなる。
丁度スタバァーでお茶をしてる時だったから、キャラメルマキアートエクストラルホイップを片手に通知を見てみる。
「あっ、透ちゃんからだ」
すいすいと画面を動かしていけば、これまた長文だ。
甘ーいマキアートを飲みながら、ふうっとため息を吐く。
「もー、また相手と上手くいかなかったの?」
透ちゃんとは合コンで知り合った。
見た目が大人っぽいくせに、とにかく寂しがり屋さんな彼女はそのギャップの為か毎回男にフラれてしまうらしい。
「甘やかしてくれる人がいいって思ってるくせに、結局甘えられる側になっちゃうんだよねー透ちゃん」
たしかに僕だって甘えたいと思う感じではあるけど、正直こうやってくるLINEに仕方ないななんて思ってしまったりしてる。
『そのままの透ちゃんに合う人じゃないとダメだよ?無理して強がったりしちゃダメ』
僕が返事を返すとさっそくつく既読。
そしてものの数分でまたピコンと通知がなる。
『わかってるんだけど、相手に申し訳ないなって』
本当にそうやって無理に合わせようとするから、しんどくなっちゃうんだよ。
なんて毎回言うのもそろそろ疲れてきちゃったな。
『じゃあ次は僕と付き合ってみる?』
そんなふうに通知を入れてふっと笑う。
返ってくる返事わかってるもん。
『嫌だよ、だってトド松くん甘えんぼさんでしょ?』
まぁ、たしかにそうかもしれないけどさ?
『それじゃあ、透ちゃんが今いるとこ当てたら付き合ってよ?』
すぐに入ってくる返事。
『いーよ?』
「僕の後ろ」
くるっと振り向いてにっこりと笑った。
これもまたいつものパターン。
「トド松くん」
「もー!またこんなに泣いちゃって!」
ピンクのハンカチでそっと涙を拭いてあげたら、また潤みだす瞳。
「ごめん」
そんな悲しそうな顔して言われたら、僕だって漬け込みたくなるんだけど...。
「もっと僕に甘えろよ、それで僕のものになって?」
こくりと頷く頭に、ぱさっと帽子をかぶせて泣き顔を隠す。
もうスマホの前で泣くのはおしまい。
ー泣きたい時は、側にいるからー