第9章 拝啓愛しい貴方へ
拝啓
夜の心地よい風が恋しい時期となりましたが、いかがお過ごしでしょうか?
いきなり手紙なんてなに?
またライジング?
そうやって君は笑ってこの手紙を読んでくれているでしょう。
さて、手紙を書いたのはほかでもありません。
僕この間就職が決まったんだ。
だから一番最初に君に手紙を送ります。
就職といっても、一般的な事務だからそんなにお給料はよくないんだけど。
もう3年になるけど、君が僕の元を去った日の事を今でも鮮明に覚えています。
僕がニート生活を続けて、他の兄弟とズルズル過ごしてた日々を君はいつも叱ってくれてたよね。
とくに僕にはあたりが強くて、一時期は君に会うのも嫌になってたこともあったんだ。
本当にどうして僕の周りは全員僕にきっちりした事を求めてくるんだなんて、そんな事をずっと思ってた。
そうやって僕は、君を遠ざけていったよね。
今でも思い出すと本当に馬鹿だったなって思う。
君は僕をおもってそうやってくれたのにってずっとずっと後悔したんだよ。
そんなおり、君が田舎に帰るって聞いて正直ホッとしたのと同時に胸が痛くなったんだよ。
この気持ちがなんなのか、全然わからなくてずっともやもやしてて。
そんな事考えてて、気づいたら仕事探してた。
ほら、もし今度会えた時ニートのままだったら顔向けできないでしょ?
でもずっとグダグダしてたから、結果こんなに時間かかって。
でもやっと君に胸張って会えるようになったよ。
だから...。
どうしても伝えたい事があるから、1度だけあって欲しい。
お盆になったら仕事が休みに入るから、そしたら君のいる田舎に行くから。
だから駅で待ってて欲しい。
君が待っててくれることを祈って...。
敬具