第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

「いや、それは…！
そう、研磨！研磨に押し付けられた
見合い写真！
押し付けられただけでしねぇし
会う事もねぇから！」

会う事もない？

『ウソつく意味、分かんない』

なんで、そんなウソつくの？

「は？」

『その人だよね
お相手…』

木兎さんと会ってたって
話もウソだったの？

お見合いしてた、の？

クロを見上げると
困った顔のまま黙ってる

バレちゃった、って所…かな

バカみたい。

『一緒に帰ってあげなよ
顔色悪いよ』

なんで本当に変わらないなんて
思ってたんだろ

私が引いた線の向こう側が
いつまでも
何も変わらないなんて

『また明日会社で
おやすみなさい』

あるわけ無いのに。

クロに頭を下げて
一気に走り去る
涙が零れる所を見られない場所へ。

バカバカバカ！
私のバカ…！

何を期待してたの、身勝手な！
クロから離れたのは
自分のくせに
忘れなきゃって思ってたのに

他の人の影が出て来た途端
未練が止まらなくなるなんて。