白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
そんな事を考えながら歩いていると
『クロ…?』
視線の先に目立つ背中が一つ。
「姫凪、今帰りとか
遅くないですかァ?」
昼間気まずかったのが
嘘だったみたいに
いつも通りに笑い掛けてくる
クロの姿
『…仕事の後
研磨くんに誘われて
ご飯食べてた
秘書の子が送ってくれるって
言ったけど夜風に当たりたくて…
クロは…飲んでた、の?』
着崩れたスーツと
纏わりついたタバコの香りは
クロの吸ってる銘柄とは
別のもの
この香りは木兎さん達かな?
『飲み会にしては
帰り少し早いね
木兎さん達は?
二次会行っちゃった?』
沈黙はすぐに気不味さを
運んでくるから
話しかけ続けるけど
クロから返事は聞こえない
『クロ?酔ってる?
ボーッとしてるけど…』
「え?あぁ…なに?」
それとも疲れてて
一人になりたい感じかな?
『あ、ゴメン…。
なんか馴れ馴れしいよね
プライベートで
何しててもクロの勝手、だし…』