白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
『しようと、してる
でも…好きで仕方ないの…
離れようとすればするほど
あの笑顔も声も
欲しくて堪らなくなる
愛されてた想い出が
鮮明に蘇って
昔の自分に嫉妬する…の』
言葉にした声が
耳に届くと涙が零れそうになる
身勝手な自分が
いつまでもクロを傷付けてるのも
分かり過ぎる程に分かるから
余計に自分が腹立たしい
「…うん、やっぱり
一人だけ頑張るのは
フェアじゃないよね」
そんな私を見て
及川さんがポツリと呟いた言葉
『なんですか?』
「姫凪ちゃん
最後にもう一回確認するよ?
クロちゃんと戻る気はないんだよね?」
『…戻れない。
それは、出来ない…です』
「…オーケー。
姫凪ちゃんが本気でそう思ってるなら
俺もそのつもりで動く
大丈夫、俺が無理矢理
君と結婚するなんて
荒々しい方法は取らないから安心してよ
じゃあ、行くね
涙乾かしてから
戻っておいで」
『はい…』
この時は
本気でそう思ってた
戻れない
戻らない
戻っちゃイケナイって。