白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
どんなに揺れても
私の気持ちは変わらないって
あの人に遭うまでは。
「姫凪ちゃん
また残業?」
『あと少しなので
それに今日はこの後
研磨くんから呼び出されてて
迎えに来てくれるって言うから
それを待つついで、です』
帰り支度を整えた
及川さんに応えながら
携帯とパソコンを交互にチェックしてると
「…ねぇ、本当に良いの?
戻りたいって思ってるんでしょ?」
及川さんの声が背中にグッと近くなる
やっぱり見抜かれてた気持ち
『…戻らないって決めました』
必死に張る虚勢に
「それは昨日聞いた。
でも、本人を目の前にした時の
あの顔見てて本当にそれで良いのかって
思ったから聞いてるんだよ、俺は」
重なる声
自分の気持ちは
一番自分でわかってる
それでも…
『…良くなくても…
そうするって決めたから…
クロには…戻れない』
ギリギリ残ってる意地がある
「…分かった。
それなら良かったよ」
『え?』