第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

あんな事をしたくせに
こうして笑い掛けて貰えて
幸せなはずなのに

「今度は俺も特製弁当
作って来るから
また一緒に食おうぜ
今度は赤葦も一緒に、な？」

『うん、分かった』

「よし、約束…！」

約束のその先を
望んじゃうよ

身勝手な自分に呆れて
箸の進まない私を他所に

「ごちそうさま」

クロが手を合わせる

『相変わらず食べるの早い
ちょっと待ってね？
すぐ食べちゃうから…』

昔と同じ光景
先に食べ終わったクロは
椅子をギシギシ揺らして

「デザートは
持って帰ってユックリ食えば良いから
無理して詰め込むなって」

私を見つめて笑いながら
タバコに火を付ける

『せっかくだし
一緒に食べたいよ』

「可愛い事言ってると
捕食しますよー」

『クロ！！』

「ウソウソ！
ムキになんなって

ほな、あと一口
頑張れ～
美味いデザートが
待ってんぞ～」

デザートを餌に
私を煽りながらも
先に食べようとはせず
私が食べ終わるまで
封を開けるのを待ってくれる