白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
「御礼に今度
美味いイタリアン連れてく」
『え?それは…』
コソコソ跳ねる心臓が
うざったい
「…研磨とか木兎も一緒にな
なに期待してンですかァ?」
『してない!
もう…からかわないでよ
そういう冗談苦手なの
知ってるくせに…』
冗談って思う度に
確認する度に
「そうだっけ?」
『ソウデス
本当に冗談キツイ…』
痛む心が苦しいよ
「スイマセンネー」
『思ってない顔~…』
「ハハッ、バレた?
資料整理、俺も手伝う
早く食ってやっちまおうぜ」
ただの先輩、後輩に
戻れただけで
良かったと思わなきゃイケナイのに
『クロ?』
こう呼ぶ事が
たまに無性に辛くなる
「…ん?なに?
早く食べないと
他のオカズも根こそぎ食うぞ
腹減りなんだからな、俺は!」
『それは駄目!
私も朝から何にも食べてないんだから』
「ソコは、食いなさいよ。
全く…晩飯だけじゃなく朝食の
心配も増えましたァ
世話の掛かる後輩だな~」
"後輩"だと言われる自分が
嫌だと思っちゃうよ