白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
いや、良いんだけど…
受付の子とかだったら
嫌だな…
あ、別に二人切りが良いとかでなくて…
自分の中の
アレコレ矛盾する感情に
吐いた溜息が
「はい、オマケ。
後で食おうぜ」
クロが目の前に差し出した
コンビニの袋を揺らす
『え?スイーツ??』
「赤葦にこき使われて
糖分足んねぇだろ
だから、買ってきた
ほら、座って…頂きまーす」
スイーツより甘い笑顔で
私の背中を押し
対面に私を座らせる
『いただきま、す』
な、なんだろ。
さっきより全然距離も取ってるから
顔も声も近くなんかないのに
何倍も何十倍も
ドキドキする
それはまるで
付き合う前
クロを好きだと気付いても
踏み出せず
でも、側で笑ってくれてたのが
嬉しかった
あの時みたい
「姫凪の弁当美味そ」
『…見過ぎ…食べ難い…』
多くは話さないし
無理に距離を詰めても来ないけど
視線を外さず
私を瞳に閉じ込めるクロ
「気にしないで食べてクダサイ」