白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
出て行くクロを見送り
大きな溜息を吐き出す私に
「幸せ逃げますよ、布施さん
お昼食べる前に少し片したいモノが
あるんですが、良いですか?
俺も手伝うので」
赤葦さんが声を掛けてくる
分厚い紙の束と一緒に。
『少し…の量ですか?
ご飯食べさせる気ないでしょ?』
「二人ならスグですよ
八対二で俺が頑張りますんで」
『冗談ですよ。
仕事してる方が気が紛れるので
大歓迎です』
クスリと笑いを漏らし
重い紙束を受け取り
『お手洗いだけ行って来ますね』
席を立つ
考え込む時間は少ない方が良い
そう思ったのは事実だけど
「布施さん、すいません…」
『は、い?』
「ちょっと野暮用が…」
少ないとゼロとでは違う
「赤葦!早く来い!
向こうの担当に紹介するから!」
「は、はい!
すいません。
戻ったら一緒にしますんで
先にお昼済ませてて下さい
俺から言い出したのに
申し訳ない」