第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

『エッチじゃないです！！
元々エッチな事して来たのは
及川さんじゃないですか！
前科を加味しての言葉です！』

「エッチな事想像したのは
認めるんだね
それもクロちゃんとのエッチじゃなくて
俺とのエッチを…」

『アナタとエッチはしてません！』

感情的なセリフが
シンとしてた部屋に響き

「ﾌﾞｯﾌｫｯ！ホント姫凪ちゃんて
面白いね
そんなにムキにならなくても」

そこに及川さんの笑い声も重なる

またからかわれた！
信じられない！
もっと怒鳴りつけてやる

そう思って吸い込んだ息が

「…良かったよ、元気が出て
俺にはこれくらいしか
出来ないのが悔しいけどさ」

グッと喉に詰まる

本当にズルい
そんな顔されたら

『今…一番無かったモノが
復活したので
【これくらい】じゃない…です…
ありがと、及川…さん』

怒鳴りつけるなんて
出来ないじゃない

席は対面のままだけど
身体を少し乗り出して
ペコリと頭を下げる