第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

『及川さん？』

別れるキッカケになった
あんな事こんな事の事なら
私にも非はあるし
及川さんだけが悪いわけじゃない

別れた事だって
結局は私が決めた事で…

"謝らないで"
そう言おうとした声を止める様に

「…あの時、別れる様に
仕向けたんだよ
別れちゃえば
俺にも可能性があるって
思ってたんだ
姫凪ちゃんの警戒心が
無くなってる事にも
気付いてたからね。

因みに会社に引き留めたのも
わざとだよ。
キミに会えなくなるのが嫌だったから
近くに居れば
クロちゃんより俺に歩があると思ってた
…ズルいよね
カッコつけて諭しといて
全部自分の為だったんだから」

及川さんが息継ぎ少なく話す

頭は必死に降ってくる言葉を処理する
わざと？ズルい？

確かに及川さんの言葉だけを聞いてたら
そうも思えてくるんだけど…

『でも、結局
決めたのは私…だから…』

やっぱり納得には遠い
及川さんだけが悪いわけない
私が弱いから
心が揺れたから

及川さん一人に
罪を背負わせる事なんか
出来るものじゃない