白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
『…残業して帰ったら
家の冷蔵庫の中が
壊滅的だったので
買い出しに来ました
家からココが近いし
こんな時間って言うほど
遅くもないと思います…』
心を乱され無い様に
一気に言葉を吐き切り
その場から
立ち去ろうとする私を
「送る。
夜道危ないから」
及川さんの手が引き留める
『結構です!』
パンッと払い除けるも
「またそんな顔して
…誘ってる?」
またすぐ掴まれて
引き寄せられる身体
近くなる香水の匂いは
あの日の淫らな自分を
鉄朗との別れを
思い出させて
胸がギシギシと痛くなるのに
『離し、て…
アナタなんか…嫌い…』
「俺はキミが好きだよ』
及川さんの甘い言葉で
どこかで浮つく自分が
大嫌い
『言わないで下さい…
私は…』
「まだクロちゃんに未練があるの?
終わったんでしょ、キミ達」
そう、終わった
私が終わりを望んで
クロを傷付けてまで
終わらせたはずなのに
まだクロの名前を聞くと
胸が痛いし
顔を思い浮かべると
愛しさで胸が頭がイッパイになる