第5章 歪みに飲まれる愛

「いつだよ？
いつから、だよ…
なんで、黙ってた？」

『嫌われたく無かった…から
及川さんにも黙っててって
頼んで…隠して…た』

こんなズルくて
汚い私を

『ごめんなさい…』

もう、愛さないで

「及川に…抱かれたのか？

そのゴメン、は
俺とはもう居られないからって
事なのか？」

そうじゃない
抱かれたわけじゃない
そう伝えたかったけど
私の首は縦に動いてた

鉄朗が私を憎み切れるなら
肯定してしまおうと
頭が判断した

『…もう…ヤダ…
愛されるのが…苦しい
一人に…なりたい』

「…そう、か。
苦しめて…ゴメン…」

私の身体を離し
情けなく笑う顔

『鉄朗は謝らないで』

怒って良いのに
それが普通なのに

「こういうのは
どっちも悪ぃんだよ
俺が謝っちゃ駄目なら
お前も謝んなよ」

『そんなの無理だよ…
悪いのは私…な、のに…』

「…別れたら、笑えるんだよな？
もう、泣かないんだよな？」

最後まで
苦しいくらい優しい
鉄朗の心