第5章 歪みに飲まれる愛

「…どういう事なんでしょうねェ？
なんか…バレちゃった？みたいな？」

『そんな軽く言わないで！
研磨くんや木兎さんは
別として赤葦さんは
同じ会社なんだよ！？』

必死で隠して来た
私の数年間は何でしたか！？
木兎さんには
そんなに会う事もないから
まだマシだけど
赤葦さんとは
毎日顔を合わせてたし
明日からも顔を合わせるのに…！
お願い赤葦さん
何か気の利いた事を…

「…腹減りません？
酒と一緒に
何か腹にたまるもの買ってきますか？」

赤葦さんに求めるのが
間違いだった…

『…食べられる気分じゃない、です
てゆっか、なんで家に…
皆で飲んだり食べたりなら
どこかの店に行ったら良いのに…』

赤葦さんが言いふらす
タイプでないのは分かってるけど
知られてると知られてないでは
状況が全然違うというか…

「姫凪…スマン
すぐ追い返すから」

鉄朗が
二人に近付き
何やら交渉しようとする
その背中に

『…すいませんが
やっぱり今日は…』

ゆっくり声をぶつける