白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
慣れ親しんだ
私の大好きな笑顔に
心はグラリと揺れるけど
『ごめんね?
ちょっと一人になりたくて…
鉄朗…あのね、私…』
言わなきゃ、今。
隠してた事も
心に燻ってた事も
全部全部吐き出して
ゼロに…
大きく吸った呼吸
まだ纏まらない言葉達を
ツギハギのまま
吐き出そうとした
…のに
「なに謝ってんだよ
押しかけてきたの俺だろ?
…飲まねぇ?
赤葦に酒とか飯とか
買いに行って貰うから」
今、なんて言ったの?
『…いや、それなら
何か作…ぇえ!?
赤葦さん!?
なんで!?』
赤葦さんって言ったよね?
私と鉄朗の知ってる赤葦さんは
一人しか居ないはず
「いや、なんで…と言われても…」
「俺も居るぞー!姫凪!
なに喧嘩してんだよー!
飲んで仲直りしろ!
つーか、飲もうぜー!
孤爪にも今連絡したから
皆で盛り上がんぞー!」
『ちょ、木兎さんまで…!
鉄朗、これどういう事!?』
ドカドカと入って来る
大柄な男性に
纏まってない言葉達は
散り散りに頭から離れて行ってしまう