第5章 歪みに飲まれる愛

『いえ、それは結構です。
私は及川さんより
罪が重いので
一人で堪えますから』

「ちょっと！
なーに急に強くなってんのさ！
バッサリ切られると
引っ込みかけた涙が
また出ちゃうじゃないか！」

わざとらしく見える程
明るい嘆きに

『泣かないですよ
私は…泣かないので
もう気にしないで下さい』

甘えない
もう誰にも

鉄朗じゃない人と
歩む人生はナイ
それは変わってないけど
もうそれは叶わないから
私は…

『キャリアウーマン街道
まっしぐらの予定ですので
邪魔しないでくださいね』

一人で未来を生きていく

「…頑固者。
まぁ、それがケジメなら
今は退いておくよ
言っとくけど【今は】だからね？
未来は変えられるんだから」

『変わりません！』

「変えるよ、俺が。
…なんてね？
小さな望みが出来ただけでも
俺には進展だから
おとなしく見守るよ、キミの事
決めたなら最後まで
泣かずに頑張っておいで」