白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
その目に吸い込まれそうになる
私が何か言えた義理じゃないって
分かってるはずなのに
『及川さん…辛かったですね…』
「姫凪ちゃん!?
あの…イキナリ何、を…!」
濡れる目元に伸ばしてしまう指
『及川さんの事
誤解してました…
ゴメンナサイ…
泣かないで下さい…』
撫でてしまう頭
この人の強さと
この人の辿った道に
敬意の念すら
抱いてしまった
「…姫凪ちゃんも
これから辛いじゃないか。
その目は決めてるんでしょ」
『…ハイ。
私も…キチンと、します
隠して逃げる事は…しない…』
それが正解かは分からない
鉄朗はそれでも許すと
言うかも知れないけど
私の心は決まってる
一度全てを
ゼロに…会った頃に…
でもそれは
「…そうか。
じゃあ、俺も今日は甘えようかな
姫凪ちゃんが泣いたとき
今日の御礼が出来る様にさ」
そういう事じゃないんです!
私の決意は別れと
この先の孤独なんだから!