白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
自分も同じだけ…
確かに今、隠し事を沢山残したまま
鉄朗の前から消えたら
まだ鉄朗は私を
許そうとしてしまうかも…
ズルい私は
そんな鉄朗に
まだ愛されたくなる事も
ゼロじゃない
「叩くなら折れるまで。
憎まれるならトコトンだよ
相手に情なんか
残させたらイケナイ。
中途半端な傷は
膿んでナカナカ治らないんだから…」
俯く私に掛かる声は
やけに感情が篭ってる気がして
『…及川さんも
誰かにトコトン憎まれて
消えたくなった事があるんですか?』
思わず声に出してしまった
一瞬見開かれた目は
サッと逸らされたから
はぐらかされると思ってたのに
「…うん、あるよ。
つい最近ね
彼女に…酷い事行って
嫌われて別れようとしたんだ」
及川さんは
あっさり口を開いた
『別れた…?』
あの夜
私と間違った
あの人とって事だよね?
「嫌いになったわけじゃないけど
その子より好きな人が出来たから
付き合ってるのは
不誠実だと思ったんだ」