第5章 歪みに飲まれる愛

私の言葉の続きを
キスで掻き消して

「なにサレてても
俺は変わらないから
だから…こっち見ろよ
もう泣くな
ベット…行こう、な？」

優しく笑い掛けてくる鉄朗
必死に隠してるつもりだと思うけど
その笑顔の奥に
苦さや辛さが
見えてしまって

『無理…
私に触らないで…』

私は拒否を繰り返す…けど

「そんなの無理に決まってだろ」

それを拒否して鉄朗は
私を抱き締める

『ごめん、鉄朗…
私…もう…鉄朗に…』

愛される資格なんかない

及川さんが
あの夜言った通り
隠さず話せば良かった

そうしたら
もしかしたら今は
変わってたかも知れない

逃げずに向き合ってたら

「…もう？
続きはなんですかァ？
言ってみろよ
…そんな余裕があるなら…な」

『鉄朗…待って…！』

「イヤに決まってんだろ？
他の男にヤラれっぱなしで
大人しくしてられる程
俺はオトナじゃねぇんですぅ
…何回イカされた？姫凪
俺以外の男…どうだった？」

こんな悲しい言葉を
鉄朗に言わせずに済んだかも知れない…。