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白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18

第5章 歪みに飲まれる愛


顔を強張らせる私に鉄朗は

「腹減ったー!
飯まだだろ?
どっか食いに行こうぜ
久々に居酒屋行って飲むか?
それとも豪華に
フレンチ行くか?
…なぁ、泣くなよ
美味いもん食って
笑おうぜ?」

いつもと変わらない態度で
肩を抱いて笑い掛けてくれる

タバコの香の奥に微かに香るのは
お揃いの香り
鉄朗は変わらないのに
私は

『鉄朗…ゴメンナサイ…』

いつもと同じなんかじゃない
同じフリをしてるだけ

「なんの事ですかァ…?
あぁ、飯作ってなかった事?
別に良いって!
てゆっか、遅くなって謝るのは
俺の方だろ?
ほら、食いに行こうぜ
なぁ…泣くなよ…
俺は何にも知らないから」

もうずっと前から
誤魔化してただけ

身体を押し返しても
引き寄せられ

「辛い事は忘れろよ
俺は姫凪が居れば
それ以上何も望まないから
お前には…笑ってて欲しい」

私の泣き声に重なる
温かい声と言葉

温かさが痛い
鉄朗が優しければ優しい程

『笑えない…
ゴメンナサイ…』

涙が止まらなくなる
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