白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
観念して
重い腰を上げ
見慣れた部屋着に手を掛ける
やっと足は動いたものの
フラフラの身体はそのままで
一つ一つの動作が遅い
私がモタモタしてる間に
手早く洗われ
お湯が溜められた音が鳴り響き
「用意が整ったので
私はこれで帰ります
ユックリ入って来てください
食べ物や飲み物は
冷蔵庫に一通り入れたので
上がったあと好きな物を。
出来れば…眠って下さい」
寝室で佇む私に声が掛かる
『え?一緒に食べないの?』
「仕事中ですから。
それに…一人の方が
気持ちが楽かと…」
ペコリと頭をさげて
そのまま部屋を出る秘書さん
気持ち…私の、気持ち…は…。
キシリと痛む身体
動く度に香る
及川さんの香水
髪の毛にも服にも
身体にも絡み付いてる気がして
一気にお湯が恋しくなった
洗い流したら
少しは気持ちも落ち着くかも知れない
そう思って浴室に駆け込み
熱いシャワーと
お気に入りのボディーソープで
隅から隅まで念入りに洗う
髪の毛も顔も爪先まで
全部全部丁寧に…。