第5章 歪みに飲まれる愛

『なるほど…湯張りして
研磨くんを介抱して
一緒に入った…？』

反応が楽しくて
ついつい悪ノリをする私に

「ちがっ、違います！
本当に！
社長は私なんか…！
その日酔っ払ったのも
取引先の綺麗な女性と
盛り上がって飲んでたから…で…
酔い潰れなかったら
きっと…私の出番はなく…て…」

ドンドン秘書さんの顔が暗くなっていく

『うわぁ…！地雷だったよね！
あの、ご飯！
買って来た…のは、アナタだけど
食べて？
私も食べるから、ね？』

流石に焦って
暗い顔の秘書さんの肩を揺らすと

「あ、食べますか？
なら支度しますので
先にお風呂へどうぞ
着替え出してて下さい
その間に用意しますから」

暗い顔からパッと
真顔に戻り立ち上がると
お風呂場へスタスタ歩いて行く

…今のは演技！？

「布施さん
早くして下さい
私も一応仕事中なので」

忘れてた
"あの"研磨くんが
側に置いてるんだ
曲者じゃないわけない。