白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
その顔からは
いつもの自信満々とは程遠く
とても自信なさげで
不安が滲み出てる様で
手を差し伸べたくなる
…って!ダメじゃない!
何考えてるの?
あんな事されたのに
"もう関わらないで"と
言える絶好のチャンスなのに
なんで…
「姫凪ちゃん
ごめんね?
キミの事が好きで堪らない」
突き放せないの…。
引き起こした私を
ギュッと抱き締め
後ろ向いてるから
着替えなよ
背中を向ける及川さん
決別を伝えられないまま
「…用意は終わりましたか?
行きましょう、布施さん」
『あ、はい…
お待たせしました』
二人きりの時間が終わる
秘書さんの後ろを歩き
玄関を抜けようとした
その時
「…姫凪…またね」
手を引かれ
奪われる唇
「布施さん?」
『…なんでもないです
行きましょう』
振り返る秘書さんを
追い越してドアを抜け
エレベーターへ急ぐ足は
フラフラとおぼつかない