白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
喉に残る生々しい苦味は
まだ消えてない
濡れた下着の不快感も
残ったまんまだ
「布施さん
帰りましょう?
お着替え手伝いましょうか?」
研磨くんの秘書の声で
二人きりではない事と
もう一つ重大な事に気付く
この人が此処に居るって事、は
「…心配なさってましたよ
だから早く帰りましょう
黒尾さんもスグ戻られるはずですから」
鉄朗が知ってる
私が此処に居る事を…
『及川さんが…言ったの?』
「…そうだよ?
どうせもう隠すのなんか無理でしょ?
俺の感覚はもうキミに
刻み込んだからね」
及川さんの感覚…
ううん、違う!
アレは夢で…
でも夢じゃない事があるのも
確かで…
「布施さん
早くここを出られた方が…」
暴走しそうな私の思考を
絶妙のタイミングで遮る声に
「…チッ。
キミは孤爪チャンに似てて苦手だな
チャント帰すから
着替えは俺に任せて
部屋の外に出ててくれるかい?」
及川さんが面倒臭そうに返す