白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
"強引で"には
今だけじゃなくて
さっきの事も入ってるんだけど
届いてはないんだろうな
てゆっか、なんか上の空で
「隣座っても?」
心まで声が届いてない感じがする
『…あ、うん…』
少し緊張しながら
ソファーの隣を開ける姫凪
近くに行けば
シッカリ目を見れば
届くと思ってた
「…さっきはゴメン。
怖かった…よな?
身体、大丈夫か?」
細い肩を引き寄せて
目を覗き込むと
『アレは…私が…』
大きく揺れる瞳
俺を映してるのに
どこか遠くを見てるようで
苦しくなる眼差し
こういう時は
どうすれば良い?
"なに連れ込まれてんですかァ?"って
笑いにしてしまえば良い?
それとも
"気にしてない"って
痩せ我慢してでも
紳士に振る舞って笑えば良い?
なァ、オマエは
どっちを選べば笑ってくれる??
俺の唇から溢れたのは
「なに連れ込まれてんですかァ?
お菓子あげるからって
言われましたかァ?」
前者だった。