白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
『来てくれたのに、すいません
今日は…本当に…』
珍しく強く拒否る姫凪に
シンとした部屋
あのマイペースな赤葦も
意外だったのか
何も言えず目をキョトンとさせている
そこまで言われちゃ
無理強い出来ないって
いつもなら帰る
「そっか、じゃあしゃあねぇ
…って帰れる程
今日は余裕ねぇんだよ
悪いな、姫凪
お前を一人にしたくない
てゆっか…俺が
お前の側に居たい」
いつもなら、な。
静かな部屋に響く
低いトーンの俺の声
二人きりならまだしも
赤葦や木兎も居るのに
こんな事言うなんて
どうかしてると思う
でも、今帰ったら
何かが変わる気がして
「押しかけて悪かった
二人は意地でも帰す。
だから俺まで拒否んなよ、姫凪」
退けないんだよ
『鉄朗…』
困った顔で俺を見上げて
続きに詰まる姫凪
言うなよ"ゴメン"なんて。
それは俺のセリフだ
チャント謝るから
チャント話そうぜ?
それすら出来ないなんて
『ゴメ…』
嘘だよな?