第5章 歪みに飲まれる愛

てっきり泣いてると思ってたから

「なーに勝手に帰ってんですかァ？
めちゃくちゃ心配しましたァ…！」

予定外の姫凪に
少し戯けて返す
…けど

『ごめんね？
ちょっと一人になりたくて…
鉄朗…あのね、私…』

姫凪の顔は憂いを残したまま
なにかキッカケを探すように
オドオドと目を動かしている

「なに謝ってんだよ
押しかけてきたの俺だろ？
…飲まねぇ？
赤葦に酒とか飯とか
買いに行って貰うから」

探してるキッカケが
俺にとって良いモノじゃない
気がして
姫凪の言葉を遮る

『…いや、それなら
何か作…ぇえ！？
赤葦さん！？
なんで！？』

「俺も居るぞー！姫凪！
なに喧嘩してんだよー！
飲んで仲直りしろ！
つーか、飲もうぜー！
孤爪にも今連絡したから
皆で盛り上がんぞー！」

『ちょ、木兎さんまで…！
鉄朗、これどういう事！？』

さぁ、どうする？
空気の重さはなくなったけど…
これはこれで意外と厄介だぞ？