白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
ニヤニヤしながら
割り込んできた研磨の肩を抱くと
「うるさいな、クロ。
独り占めの事とか
クロに言われたくないんだけど
…チッ、落ち着かさなきゃ良かった」
面倒臭そうに
俺の手を払い除け
いつもの椅子に腰掛けて
クルリと背を向ける
「あの、なんの事でしょう?」
俺から聞いた住所をメモしながら
首を傾げる秘書チャンを
「こっちの事。
早く行って来てよ」
「は、はい!
行ってまいります!」
「よろしく。
じゃあ、クロ。
救出も頼んだし仕事の話していい?」
「へいへい。
研磨のお気に入り動かさせたんだし
こっちも切り替えますよー?」
素早く追い払い
仕事モードの顔に
必死に戻そうとする研磨を
からかいながら
俺も仕事モードに切り替えた
…フリをする。
本当は仕事モードなんか
程遠いほど
内心焦ってる
姫凪に会いたい
俺が駆け付けて
抱き締めたい
なァ、姫凪
お前も俺に会いたいって
夢の中でも
思ってくれてるよな?
顔を見れないとか
そんな悲しい事
思ってないよな?