白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第5章 歪みに飲まれる愛
札を渡して
タクシーから飛び降り
研磨の会社に転がり込む様に
駆け込むと
「黒尾様!?」
受付の女の子がビックリした顔で
俺を出迎える
「孤爪…ですよね?
すぐ繋ぎますから
あの、少し掛けてお待ち下さい」
「は、はい…」
受付の電話が繋がるまでが
長く感じる
早く研磨に頼んで
姫凪を俺の部屋に戻さねぇと
本当に体調が悪いかも知れない
オイカーくんに
泣かされてるかも知れない
いっその事
研磨との予定をキャンセルして
俺が向かうべきか?
イライラモヤモヤする俺に
「クロ、顔怖い。
姫凪に何かあったの?」
いつの間にか
降りて来ていた研磨が
声を掛けて来た
「え?いつ来たんだ?
いや、そんな場合でなくて!
秘書の子を貸して…
いや、やっぱり俺が…」
纏まらない俺の言葉に
「…とりあえず
部屋に行こうか。
コーヒー出すから
まず落ち着きなよ」
呆れた様に
研磨が溜息を吐く
落ち着く?
この状況で?
そんなモン
無理に決まってンじゃねぇか!