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白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18

第5章 歪みに飲まれる愛


怒りなんか感じさせない
淡々と冷静に

「聞いてるんですかァ?」

姿の見えない
喉元に爪を突きつける

〈なに?〉

予想外だったのか
驚く程短く返ってきた声

「俺がそんな子供騙しで
焦ると思いましたかァ?
姫凪がなんの理由もなく自分から
オイカーくんに
付いて行くわけねぇじゃん
長い付き合いナメんなよ?
じゃあ、俺忙しいから
また明日会社でな」

軽く笑って切った通話
揺れるタクシーの
振動のせいにしたいほど
震える膝

意味が分からねぇ

オイカーくんに言った通り
姫凪が自分から
付いていくわけない
寝たのにも
何か抗えない理由があったんだ

震える膝を叩いて
鈍く伝わる痛みで憤りを誤魔化すけど

抗えない…理由って何だよ?
なんで付いていった?

俺以外にそんな無防備になる事なんか
今まで一度だって無かったのに

姫凪を責める言葉で
頭がイッパイになる

「お客さん、大丈夫ですか?
着きましたけど…」

「あぁ…スイマセン
お釣りは結構です
ありがとう御座います」
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